GAIさんのトライバルブログ

無駄なことを無断に追い求める無駄。

トライバルデザイナーGAIのブログ
無駄無駄無駄。

絵描きとAIはどう棲み分けしていくのか

どうも、細密トライバルアーティストのGAIです。
AI、すごいですよね。
ここしばらくはAIの進化が止まらなく、「AI絵師」なんて言葉も登場しちゃって。
絵描きは仕事がなくなるね、なんてそんなことも言われたりしてます。
実際、どこかの国ではAI生成に任せて、イラストレーターを解雇したみたいな話も聞きます。
イラストレーターにとっては今までの努力をどうしてくれよう!なんて気持ちになってる人も多いんじゃないでしょうか。

僕は細密トライバルアーティストとしてやっているので、ああ、細密画とかトライバルとか、超かっこいいのを出力してくれたりするのかな、トライバルAIとか出るのかな、細密画AIでるかなあ、と思ってましたが、特に出ない。
というか、そもそもの問題として、細密画もトライバルもAIで出力させたい人が少ないからデータも少ないのでは?と思いまして、僕に関しては結局需要の少なさと供給の少なさがあるからかなと。

世の中の大多数のイラストレーターの方は、そりゃ自分と同じ絵柄と構図の絵がいきなり「AI絵師」のタグと共に出てきたら、びっくりしますよね。
しかもその絵とか他の絵とかを販売して稼いじゃったりしてるわけです。

うーん、確かに理不尽。

法整備されてない、という大きな原因もありますが、まあでも結局、需要と供給なわけだと思います。


どういうことかというと、基本的に、イラストレーターにイラストをお願いすると、いいお値段します。

当然ですよね。
だって、何時間、何十時間もかけて全力を注いで1枚の絵を完成させるわけですし。

数万、数十万かかるのは当然です。
むしろ、お仕事なんですから数千円というのがおかしい話です。

ところが、MidJourneyとかStable Diffusionが登場して、ある程度誰にでもAIで絵を生成することができるようになってしまった。
もちろん、不正に入手したイラスト群をベースに使用しているのはダメだと僕も思います。

ただ、AIで絵を生成することの魅力とサービスの一環というところが、その不法さ、自己責任さという部分を曖昧にしてしまっていると思います。
赤信号、みんなで渡れば怖くない的な感じです。

結局、よくわからんけどみんな使ってるし、手軽にめっちゃカッコイイ可愛い絵が出てくるし、最高やんけ!って感じになってるわけです。

まあ、一部絵を生成する文章(スクリプトと言います)にめちゃめちゃ拘って作ってるんだよという方もいますが、努力量を比較する意味は全くありません。それで言えば絵を描く努力の方が勝ってしまいます。自爆です。

もちろん、正しい使い方をすれば便利です。
きちんと版権的に問題のないデータを使ったり、自分の絵だけをベースにしたり、ポーズ参考として使ったり、存在しないものを生成して楽しんだり。

それはそれは魅力的で楽しく、便利です。

問題なのはその使われ方。
身も蓋もないことを言うのであれば、「治安が悪い」と言うことになります。

どの業界であってもそういうことは往々にして起こります。
AI業界にとって今がそのタイミングではあります。

イラスト投稿サービスはAIの絵を全面的や部分的に禁止にし始めてます。
まあ、サイトの趣旨と違うものが横行していたらそうなるなとは僕も思います。

話が逸れてますが、まあそんな状況において。

イラストレーターとAI」はどのようにして共存していくべきなのか。

どちらかを排斥する、と言うのは間違っていると思います。
イラストレーターは必要ですし、AIも必要です。

その立ち位置。

僕は、「イラストレーター」と「AI」は共存し、「アーティスト」が明確に別れるのかなと思います。

イラストレーターとアーティストは、僕の中では「職業」と「表現者」と言う認識です。

職業としてイラストレーターをやっている人は、もちろん不法なことはいけませんが、利用する上ではAIをどんどん使っていった方がいいと思うんです。

イラストレーターとしてやってきた以上、その技術はすごいので、AIで生成されたものをより魅力的にできます。
AIは良くも悪くも、たくさんのものを短時間で出すことができます。
イラストレーターは大量に生成されたものを選別し、より良いものへ昇華させる存在になっていくと思います。

そんなこと言っても、僕は絵を描きたいんだよ!
と考える方が多いでしょう。
僕もそうです。

絵を描く、と言う行動そのものが好きなので、AIが出ようが出まいが、描きたいと言う欲求は減るわけじゃありません。

つまり、これが「アーティスト」なんですね。
アーティストは表現をしたい。
自分が作ったものを世の中に出したい。
いろんな人に見てもらいたい。

アーティストの価値は、作品ももちろんですが、「人そのもの」にあると思います。
その人が作る作品が欲しい。
こんな素晴らしいものを作る人はどんな人だろう。

そう言う、ストーリーと共にいるのがアーティスト。

AIにストーリーはありません。
どんなに素晴らしいイラストを生成しても、絵画コンクールで優勝しても、写真コンテストで優勝しても、それは本質ではありません。
そもそも絵画コンクールにAIの絵を出すなと言うモラルの話です。
それだけAIが生成するものがすごいと言うことではありますが。

モラルの低い人に合わせていても疲れるだけですので、やめましょう。

「自分は表現者である」と言う認識を強く持てれば、あとは外部がなんだろうが関係ありません。
ただ、自分の表現したいものを表現する。

それで良いと思います。

結局は考え方なのかな、と。
どう足掻いても、AIが消えることはありませんし、どんどん伸びていきます。
そこに文句を言っても変わらないので、さっさと適応して自分の道をきちんと考えていった方が建設的です。

とはいえイラストレーターの仕事が減っているのも、盗作が横行しているのも事実です。
時代には対応し、ダメなものはきっと罰せられる時が来ます。

余計なことに思考を逸らして、貴重な創作の時間を使わないでものづくりに集中して一つでも多くの作品を世の中に残していきましょう。

さて、そんなGAIさんも新しいアパレルブランドを立ち上げています。
その名は「Sytra」
サイトラと読みます。
第一弾でトライバルで描いた鶏のバンダナを出しています。
AIではなく、GAIさんの手描きアート作品です。

しっかりと染めで作られているので発色が美しく、生地の手触りもチェックして作ったこだわりの一品です。
バンダナの使い方はたくさんあるので、おしゃれなものとして1枚持っておくと良いと思います。なんならそのまま壁に飾ってもいいですね。

Sytraの話はまた別でしようと思います。

それではまた。